はてな
介護施設の調剤を受けてから、仕事がキツくなったなあ。
給料そのままだし、ちょっとヤバいかも??
このような疑問についてお答えします。
「Pharmacist Income」のユウです。薬剤師として薬業界に入って十数年が経ちました。
色々な薬局やドラッグストアで働き、人事担当や管理薬剤師、薬局長等の経験も長くしています。
今日は、介護施設や在宅介護の調剤を行っている薬局について、ブラックなのかどうかをお話します。
薬剤師は医療職としての自覚なのか、ともすれば自己犠牲になりがちです。
薬剤師会や行政からも、
「患者さんの事を考えなければならない。」
「休みでも研修会に出て、勉強するように。」
と発破をかけられます。
それだけでも大変ですが、今度は地域包括ケアで「薬局は在宅介護も!」と、どんどんと仕事量が増えてきており、「薬剤師はブラック職種になるのではないか?」という不安も大きくなりつつあります。
その辺りについて、現場に居る薬剤師の一人として現状と対策をお話します。
この記事では、以下の事が解ります。
ポイント
・介護(施設・在宅)の調剤はブラックになる可能性が高い
・介護調剤でブラックにならないようにするコツ
・自分の職場がブラックだった場合にどうすべきか
ちなみに、私の薬局の場合、
メモ
・ 在宅患者無し
・ 施設在宅1件
という状況で、現在はそこまで大変な状況ではありません。
ですが、以前は施設在宅が4件あり、ストレスが非常に強く、全身にヘルペス(カポジ水痘様発疹症)や湿疹が出たりして大変でした。
そういう経験から、頑張るのも程々にしないと大変な事になると身をもって実感しています。
そのような視点からも、介護(在宅・施設)の調剤についてお話していきます。
それでは、よろしくお願いします。
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介護(施設・在宅)の調剤はブラックになる可能性が高い
さて、いきなり結論ですが、介護施設や在宅介護の調剤業務は、自分達で自衛しないと、確実に薬局はブラックになります。
行政や薬剤師会の研修会に出ると、
「薬局が在宅介護でもっと前に出ないといけない。」
「患者さんに感謝され、とても感動した。」
「医師、看護師からすると、薬剤師は顔が見えない。もっと頑張らないと駄目だ。」
という話を山盛り聞かされます。さて、これらの話は本当なんでしょうか?これに関しては、私は薬局、調剤という特性上、仕方ないと思います。
医師や看護師は、直接患者さんに触れて治療・看護しますので、患者さんとのやり取りが職業上密になります。
しかし、我々薬剤師は、薬の調剤を業務としておりますので、患者さんとのやり取りは医師・看護師ほどは無いのが現実です。
「介護も頑張らないといけない。」というのはごもっともですが、ある程度は職能の違いというのも考慮すべきです。
また、「医師には遠慮し、薬剤師には遠慮しない。」という対応の差も現実には存在します。
そんな現状ですので、薬局に対する風当たりは強く、要望も無茶なものになりがちです。
ですので、仕事量、施設調剤の方式に関しては、交渉をして自分達に出来る事出来ない事をはっきりとさせておくべきです。
誰も守ってくれませんので、自衛するしかないのが現状です。ブラック職場については、こちらの記事もご参考下さい。
介護調剤でブラックにならないようにするコツ
前の見出しで介護(在宅、施設)の調剤を行うと、薬局のブラック化の危険があるとお話しました。
具体的に、どのようなきっかけからそれが起こるかをお話して、それらの対策をそれぞれ説明していきます。
基本的には、「介護施設からの手間がかかる要望を、どうやって少なくしていくか?」が重要となります。
介護調剤の件数が増えた
これは、薬局のマンパワーとの兼ね合いになります。人数が居ても、施設を3つ4つ持つと、毎日残業になります。
会社によって違うと思いますが、所によってサービス残業になる所もあります。
特に、配達等は通常業務が終了してから行う事も出てくる為、介護調剤の件数はあまり増やしたくない所です。
しかし、居宅療養管理指導の点数が大きい為、経営者側は介護施設の調剤を引き受けたい所です。
ですので、現場との認識の乖離が起こり、トラブルの原因となる場合もあります。介護の件数はあまり増えないように気を付けておきましょう。
もし、薬局のマンパワーに比べて介護調剤の負荷が多すぎる場合は、経営者側に配慮を求める必要があります(無理を続けると、身体が壊れてしまいます)。
更に、経営者側が薬局現場サイドの要望を突っぱねた場合、その職場からは去った方が良い事も出てくると思います。
中々そのような決断はしたくないものですが、とにかく、自分の身は自分で守る必要がありますので、その選択肢は常に頭に入れて置いた方が良いです。
「最悪は転職」という選択肢を頭に入れて置くだけで、かなり精神的に楽になります。
転職する理由については、下記の記事で詳しくまとめていますので、ご参考下さい。
調剤に関して、細かい指定がある
これも「介護調剤あるある」になります。
実際に経験しないと大変さが解らないと思いますが、介護施設や患者さんからの調剤に関する要望は、基本的に薬局は飲む事になります。
しかし、時に度を越えた要望がされる場合があり、そのような時は出来るだけ調剤を簡素化する方向で施設側患者さん側と調整する必要があります。
よくある例は、一包化指示の出ている処方箋で、細かく薬剤毎に別包し、服用時点毎にマジックペンで色を変えてラインを引き、それらをPTPシートのものと合わせて数種類を一気にホッチキス止めするような要望になります。
これを1人につき14日分、1日4回服用で出ている場合、56包それを一回の調剤でする事になります。
このような調剤は、通常の調剤に比べて非常に手間と時間がかかり、しかも、それは薬局側のサービスで行う事になります。
こちらが疲弊して、フィーが発生しない最悪の展開になります。ですので、とにかくこのような事は減らしていく必要があります。
介護施設や患者側は、これらの要望を簡単にお願いしてきますので気を付けましょう。
臨時の配達が多い
これも介護調剤あるあるですが、臨時薬が出て、それの配達をお願いされる事があります。
酷い場合、一日に何回も配達をお願いされる事があり、薬局運営から見ても非常に問題となるケースが多いです(居宅算定無しで配達はサービスになる場合が多い)。
出来るだけ、介護施設側の職員に取りに来て貰う様にお願いはしますが、「人手不足なのでお願いします。」と突っぱねられる事も多く、非常に頭の痛い案件だと言えます。
このような要望を完全に無くすことは出来ませんが、極力減らしていく事が大事です。
例えば、臨時薬で出るものは風邪薬等が多いので、予め風邪をひいた時の為に医薬品を少しストックして貰うという方法もその一つです。
後は、薬局営業終了時間後にまとめて行かせて貰う等、回数を減らす方策も一つの手になります。
後は、これらの臨時薬の配達の要望を簡単に受けないという所がポイントになります。
簡単に「解りました!」と受けていると、どんどんと要望する事に対するハードルが下がり、介護施設側も軽く考えるようになります。
最終的に薬局側が折れるとしても、出来るだけ粘って配達回数を減らす様にする事が大切です。
夜中の呼び出しが多い
上の見出しの臨時薬の配達もそうですが、突発で介護施設等からの連絡がある事があります。
シフト制で24時間体制ですので、昼夜関係無しで電話がかかってきます。
これも、対処のしようが無い事が多いのですが、例えば薬局内で夜間の電話番を交代制にして、負担を軽減していった方が良いでしょう。
ですので、夜間、管理薬剤師の個人携帯に電話が転送されるような薬局の場合、その管理薬剤師はすぐにその会社を辞めた方が良いです。
24時間365日ストレスがかかり、身体を壊します。すぐに逃げましょう。
自分の職場がブラックだった場合にどうすべきか
自分自身の働いている職場がブラックかどうかは、すぐ下の別記事に詳しくまとめて書かせて頂いていますが、介護調剤が関わった場合にどうなるか、簡単に説明しておきます。
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上の「介護調剤でブラックにならないようにするコツ」という見出しで説明させて頂いた内容の問題が出た時、上司等に待遇改善を求めても、
「みんな同じ。貴方だけじゃない。」
「根性が足りない。」
「どうやったら出来るか考えろ。」
と突っぱねられて終わりになる事も往々としてあります。
その様な場合、自分自身の体調、家族の状態を考えながら、今後を考えて置いた方が良いです。
精神、身体は、一回壊れると元に戻らない場合も多いです。十分に気を付けましょう。
別の店舗への異動を考えたり、組織が小さい場合は転職してしまった方が良い場合も多いです。
手遅れになる前の決断が重要ですので、例えば転職サイトに登録と面接だけして、すぐにパッと動けるように準備しておく事も有効な手になります。
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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