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調剤でピッキングする時、コツとかあれば知りたいです。
このような疑問をスッキリ解決します。
「Pharmacist Income」のユウです。
薬剤師として薬業界に入って十数年が経ちました。私は、実はドラッグストアの方が得意で調剤はどちらかというと苦手です。
ですが、その苦手意識を逆手にとって、ピッキング等で間違わないように色々と方法を考えてきました。
そんな経験を元にした、調剤でのピッキングのコツについてご紹介致します。
特に、調剤に慣れていない薬剤師の方や、実習にこれから向かう薬学生の方のお役に立つ事が出来れば非常に嬉しいです。
この記事は、以下の内容になります。
ポイント
正確な情報を元にピッキングするポイント
ピッキングのスピードを上げる効率化方法
まとめ
ピッキングは正確性とスピードが大事になります。尚且つ、調剤全体を見渡して一番早く完了するように動く事も考えないといけません。
もし「単に薬をそろえるだけじゃん。簡単簡単。」と思われていたら大間違いです。
中々大変ですけど、本記事がきっかけで、少しでも楽に調剤が出来るようになれば幸いです。それでは宜しくお願い致しますm(_ _)m
正確な情報を元にピッキングするポイント
調剤は、人の命が関わっているある種危険な行為です。どれだけ早くてもミスが多かったらダメです。
ミスをする原因として多いのは、情報の把握不足です。車の運転ですと、「見えていない状態」です。
後で詳しくお話しますが、例えば医薬品なら、名前、剤形は見ますが、用量とメーカー名等は抜けがちです。
最後まできっちりと見る事が大事です。それが出来て初めて、スピードが出せるようになります。
処方せんの情報を基本としてピッキングする
処方せんが唯一の医師からの指示です。こちらで印刷した書類を元にして調剤はしないようにしましょう。
処方せんの監査が終わった段階で、その「情報を元に」ピッキングします。
調剤慣れしていない方によくありがちですが、「薬剤情報提供書」、いわゆる「薬情」をみてピッキングされている方が見えます。
確かに、ジェネリック医薬品や薬の写真や識別番号まで載っているので、解りやすくて見やすいです。
でも、それはヤバいです。何故かというと、「処方せんではない」からです。
薬情の情報は、レセコンに入力して出たものになります。事務さんが入力ミスをしている可能性があります。
参考情報として薬情を見るのはかまいませんが、あくまで処方せんからの情報を基本として調剤する事が大事です。
調剤前に薬歴のチェックも忘れずに行う。
薬歴のチェックに抜けがあると、調剤ミスを起こす可能性が高まります。
調剤前に薬歴をチェックするのも大事です。特に、頭書きには患者さん毎の調剤の留意点を書きますので、確認する事は必須です。
これを確認せずに行うと、調剤過誤やクレームの原因になります。
例えば、嚥下困難がある方で薬を粉砕にしないといけない場合、処方せんの備考欄に粉砕指示を忘れられている事があります。
この場合、疑義照会対象となりますが、この確認を怠ると、そのまま間違って錠剤で調剤をしてしまう可能性があります。
服薬指導時に気付けばいいですが、最悪、調剤過誤になります。
他にも薬歴の確認不足で、一包化調剤を希望されている患者さんにPTPシートでお渡ししてしまう事もあり、その場合クレームになる事もあります。
ですので、処方せんのチェックと同時に、薬歴の確認もしっかりと行うようにしましょう。
抜けやすい情報
調剤時、ピッキングの際に抜けやすい情報を押さえておきます。多いのは、規格とメーカー名です。
特にジェネリック医薬品の場合に要注意です。100mgのものもあれば、50mgのものもある、メーカー違いのものも沢山種類があります。
特定の患者さんに特定のメーカーを使う場合や、特定の規格で調剤する場合がありますので、調剤前に薬歴の確認をしっかりとして、抜けが無いようにします。
例えば、ボグリボースOD錠0.3mg「ケミ〇ァ」をいつも使用している薬局で、特定患者さんだけ「ト〇ワ」を使用する場合等です。
間違えやすい情報
調剤時、ピッキングの際に間違えやすい情報は特に注意します。
同じような名前の医薬品が減って、大分前よりは改善されてきていますが、一番危ないのが「テグ〇トール」「テオ〇ール」「テオ〇ング」それぞれの名称間違いと規格間違いです。
これらを押さえておくだけでミスが減ります。後、外用の場合は「リンデ〇ン」に注意です。
VGもあればVもあり、DPもあり、剤形も軟膏、ローション、クリーム等、全て「リンデ〇ン」です。
ピッキングのスピードを上げる効率化方法
確実性がある程度出てきたら、次はピッキングのスピードを上げていきます。とは言っても気合だけでは何ともなりませんので、作業工程を効率化して行きます。
以下に、効果の大きい工夫を書いて行きます。
手を早く動かす
これはそのままですが、確実性が落ちない程度に早く手を動かすという感じです。
最初のうちはやりすぎてミスに繋がりますので、ゆっくりと上げていくというのがベターです。
かといって、いつまでもゆっくりと仕事をしていい訳ではありませんので、この改善方法は日々行うという所でしょうか。
まとめて行う
一つの動作をするのに、2~3の事を同時に行います。
例えば、普通薬をピッキングする際に「ロキソプロフェン錠とレバミピド錠を一気に取る、ついでにランソプラゾールOD錠があればそれも。」という感じで、3個程度やる事を瞬間的に覚えて処理していいきます。
処方せんを何度も見に行く時間ロスがそれで減ります。
よく出る数や倍数を覚える
特に、処方は7の倍数で出る事が多いので、それらの倍数を重点的に覚えておきます。
そうすると計算機で計算する手間と時間が省けますので早くなります。
特に効果が高いのは漢方エキス剤のピッキングです。21包の束でありますので、21の倍数を覚えておくと、格段にピッキングが早くなります。
「21,42,63,84,105,126,147,168,189、210」こうして並べてみますと解りますが、1の位を2倍したものが十の位、百の位になります。
例えば「8束は16と8で168包」「5束は10と5で105包」という感じです。10束は×10するだけですので楽に覚える事が出来ます。
片付けながらピッキングを行う
仕事の早い人を見ていると解りますが、片付けながらピッキングしています。
調剤台がPTPシートのカスや箱のカスだらけ、書類が散乱していますとそれだけでスピードが落ちます。
後回し後回しでやっていると身動きが取れなくなりますので、早めに片付けながら作業するのがコツです。
動線を意識した配置にする
医薬品の置き場所、分包機、監査台等の配置を、調剤の流れがスムーズになるように配置します。
施設基準の面もありますので限界もあると思いますが、可能な限り頑張ってみましょう。
これは、一人の薬剤師だけでは出来ませんので、薬局スタッフ全員で話し合いながら進めていきます。
まとめ
確実性・正確性が第一に来て、その次にスピードですね。どれだけ早くても、間違っていたら意味がありません。
患者さんからどれだけ「早くしろ!」「遅い!」と言われても、確実性を壊す訳にはいきません。
それは、薬剤師としての信頼性を失わせる事になります。また、無理そうなら早めに誰か別の薬剤師にピッキングを変わってもらうのも手です。
調剤は無理を通す場面も出てきますが、極力は無い方が良いです。今回の記事が少しでもお役に立てたなら幸いです。
最後に、「現在の職場状況で、ピッキングはこれ以上成長できないなあ。」と感じていらっしゃる方は、職場を変えてみるのも一つの手になります。
忙しい病院や薬局の方が、ピッキング技術は「より正確に、より早く。」が求められます。
薬剤師人生は長いですが、その中で、一度位は滅茶苦茶忙しい調剤を経験しておくと後々の自信になります。
ご興味ありましたら、以下のリンクに色々とまとめていますので、ご覧頂ければと思います。
また、「転職はまだちょっと・・・。」と思われる方でも楽しめるように書いていますので、ご参考程度にお読み頂ければ幸いです。
お読み頂きありがとうございます。
以上です。少しでも参考になれば幸いです。以下より、他の記事が検索できますので、宜しければご活用下さい。
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